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旦那と息子が揃って舌打ちしていた。
だがすぐに気を取り直したのだろう。
二人も不敵に笑う。
食卓の上に、三人の笑みが向き合っていた。
「はじめよう」と、旦那の声を契機にして、三人が一斉にスマホを取り出す。
「俺のスマホ、起動ッ。・・・叩き潰してやるぜッ」と、息子が、
「兄ちゃん。いっつも思うけど、その厨二病の掛け声、マジでキモいから。もうちょっと普通に始めようよ」と、娘が、
「それを言うならスマートに始めようだろ。スマートフォンだけにな」と、旦那が言って、そして無視されていた。
3人が同時にアプリを起動する。
ババ抜きのゲームアプリだ。
父が作成した対戦ルームに、三人が加わり、、、
いざ開戦である。
それぞれに戦う理由があった。
でなければ血を分けた家族で戦う必要などあるものか。
それぞれの目に明確な敵意がある。我こそは一番に伸し上るという確固たる意志がある。
家族三人、待ったもなければ容赦もない。
そう、これは一番風呂をかけた戦いなのである。
旦那。
彼は家族の大黒柱たる威厳のためにこの戦いに参加している。
古き良き時代の亭主関白を目指して、、、
一番風呂は家長たる父親が入るものだという確固たる信念を胸に戦う。
だが主婦として言わせてもらえば、旦那よ。
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