1#寒空の地域猫

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 ぴゅ~~~~~~・・・  「ぶるるるる・・・さ、寒いにゃ!!ヘーーーックション!!」  地域猫のイニは、木枯らしの吹きすさぶ街を震えながら歩いていた。  「マタサキから切れた耳の先まで、寒さがしみるぅぅぅうー!!!!」  イニは、キジトラ模様の身体を摩擦で暖めようと、壁をスリスリしてみた。  「イテッイテテテ!!駄目だ!!かえってダメージが・・・」  イニは、満点の夜空の空を見上げて、ふーっ!と溜め息を吐いた。  もくもくと、吐息が白い煙になって夜空の向こうへ飛んでいった。  「あー、僕の息も凍るよ・・・」  もくもくもくもくもくもくもくもく・・・  「んにゃ?」  目の前の人間の家から白い煙が、どんどん吹き出てくるのを、地域猫のイニは見つけた。  「なんじゃこりゃ?」  イニは、その煙が立ち込める方へダッシュした。  煙は、トタンの煙突から出てきている事が解った。  丁度、窓が閉まってない!!  しめしめ・・・あの煙突の正体を!!    がらっ。    
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