第1章 アーティファクト

2/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
西暦2150年4月 リバティ空港  春のリバティ・サン王国の空港、新人類の為の学校が世界唯一のため、この国には様々な国の人が訪れる。 「ここへは何をしに来た?」 入国管理人の男性は窓口の前に現れた少年からパスポートを受け取るとそう質問する。 「学校へ通うためです」 少年は笑顔でそう答えると男性は聞き慣れているのか少し面白味がないような顔をした。 「ガーディアンか、それでは良い学生生活を」 そう言われ、少年はパスポートを受け取り入国審査のゲートを通る。 (ここが新人類の理想郷──リバティ・サン王国か、見た感じは噂通り豊かで技術なんかも経済国と変わらない程だけど、どう思う?ギシン) 少年はギシンと呼ばれる人物に内心そう問いかける。 「シンジ、あまりキョロキョロすんじゃねぇ、怪しまれるぞ」 シンジと呼ばれる少年は心の中でそう話すと、ギシンと呼ぶ人物からの返事が来る。 (そう?ボク的にはこれくらいなら大丈夫だと思うけどな)  ポケットに入れていたイヤホン型の通信機器が震える。 「おい、なってるぞ」 (分かってるって) 「シンジ応答せよ」 シンジは裏路地に隠れ通信機器を装着すると声が聞こえてくる。 「こちらシンジ、先程入国が完了し現在入寮予定の寮付近にある裏路地に居るよ、オーバー」 「了解した、君はこれからコードネームをアーティファクトと呼ぶ、以上だオールオーバー」 「アーティファクト(人工物)ね、皮肉すぎるネー ミングだよ、そっちが勝手に造ったくせにさ」 通信が切れるとシンジは愚痴を言うようにそう呟く 「確かにな!でも俺の体を手に入れるには反乱軍(あいつら)の力がいるからな、協力せざるを得ないのは分かってるだろ?」 (分かってるよ、嫌だけどね) 「へぇ、珍しく否定的じゃねぇか!どうしたんだ?」 (いや、別に) 「なるほどなお前この国の雰囲気見て滅ぼしたくないって思ったんだろ?違うか?」 ギシンは何かを察すると笑いながらそう言った。 (なっ!?分かったの?) 「まぁな!お人好しなお前のことだそんなの感じ取るのなんて屁でもねぇさ!」
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!