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シンジは辺り一面を見渡し、安全確認を済ますと大通りに出る
(寮は確か、こっちだったよね)
「あぁ、そうだぜ?それにしてもよ!この辺は平和だよな!」
(確かにそうだね、研究所とかはピリピリしてたしボクらもこんな環境ならあんな事になっては無かったと思う)
「過ぎたことを悔いても仕方ないってやつだ、まぁ、あの試験は意外と好きだったがなぁ!」
(これだから戦闘狂は)
シンジはそうツッコミをいれるが内心シンジは自分を励ましている。そんな風に聞こえた。
「何だよ?文句あっか?」
(ううん、別に──でもあの試験は流石に命の危機って感じがしたよ)
「そりゃそうだ、だってここに投入する奴を厳選する試験なんだからな、だからと言って落ちた奴らを廃棄処分にするのはどうかと思うが」
(彼らも必死だったんだよ、だからこそ何としても生きる、あの子達の分もね──でしょ?)
「あぁ!──っと、ここが寮か?」
ギシンは寮の前を通りがかると確認のためにシンジにそう聞く。
(みたいだね、よし!)
「ねぇ!もしかして~君の名前ってシンジ?」
シンジは寮のドアに手を伸ばすと制服を着た女子生徒から声をかけられる
(誰だろ?)
「なんだ?名前を知ってるからシンジの友人とかじゃないのか?」
(ギシン忘れたの?ボクはギシンと会う前の記憶は名前のこと以外は無いんだよ?)
「だから記憶が無くなる前、シンジが研究所に拉致られる前のってこったよ!」
ギシンは分かっていることを言われ、少々苛立った様子でそう言う。
「えっと、君は?」
「え~この天才美少女幼馴染、アイちゃんのこと忘れたの?」
自分の事をアイと呼ぶ少女は少しがっかりした様子でそう言った。
(アイちゃんか──やっぱり聞いたことのない名前だよね)
自分に関係のある単語なら多少の頭痛が起こるため少し考え込むもやはり聞いたことのない単語なのかなにも思い出せなかった。
「天才美少女──ごめん、心当たりないから人違いじゃない?」
「そんな事ないよ~だってほら!この子が君のこと指してるもん!」
アイは必死にそう言いながら右手に巻きつけている星形で赤く加工された宝石のネックレスを見せる。
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