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一連の話を聞いた紗季はキョトンとした。口を紙ナフキンで拭きながら
「私に話してるじゃん」
「いいの。なるべくって話だからさ。それに紗季は、ベラベラ噂話をする子じゃないから話したの」
「わかった。話さないよ」
爽やかな笑顔で頷く紗季。この子は、実に天然で素直で可愛い。最近、年下で体育会系な彼氏が出来たらしく、ますます可愛くなった。
ーーー羨ましい。イケメンで爽やかな年下の彼氏なんか。私だって欲しい。どうやったらそんな男と出会えるんだろう。
「マスター、お会計」
インド人のマスターを手招きして呼ぶ。
お会計を済ませて外に出ると、どこかへランチに行っていたらしく女子社員数人と上野課長が歩いているのが前に見えた。
「あ、噂の…下なのに、うえの課長だ」
明るく紗季が声を上げた。
慌てて紗季の口を手で覆う。
「しっ! 課長が地獄耳だったら聞こえちゃうから!」
ーーーこれだから天然は困るのよ……うわっ!
聞こえたのか偶然なのか、上野課長が後ろを向いて私たちを見た。
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