最悪の事態

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課長は女子社員に何かいい、1人で何故かこちらに向かい歩いてくる。 「山田」 「……はい、上野課長」 なぜか目を合わせられないでいた。 「……私、先に行ってるね?」 紗季は天然のくせに、こういう時だけ逃げ足が早い。 「ああ、村西、悪いな」 紗季を見送ると、私は上野課長を見上げて作り笑いを見せた。 「山田、お前話したろ?」 上野課長が私の腕をグイと掴んで、無理に引っ張りカレー屋の裏通路に連れて行く。 狭い通路にカレーの匂いが充満していた。腕は掴まれたままだったりする。 「は? 何をです?」 ここは、一応すっとぼけてみる。 「とぼけるな。お前が俺の上に住んでることだよ!」 「課長、そんなこと話しませんて。意味ないですから」 「ふん、ならいい……」 ため息をつく課長が私を見た。 「……お前、運動してないだろ?」 「え? なんです急に」 「二の腕がプニプニしてるぞ」 掴まえたままの私の二の腕をプニプニ触る課長。 「課長! セクハラ! これやめてください!」 プニプニされて恥ずかしい事、この上無し。 課長の手がゆっくり離れた。 「それと、お前、今朝4時のアレなんだ?」 ーーー今朝4時?
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