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引っ越し挨拶に行った際の上野課長との出来事を紗季に話す。の巻
「下なら許せるが、上? 不愉快だ」
「不愉快って言われてもですね……私のせいではないですよ。私だって、まさか下に上野課長が住んでるなんて思わなかったですし」
じっとりした目つきの上野課長。
「それに、何故蕎麦にしないんだ? 引っ越し挨拶は、昔から蕎麦だろ」
「それ、昭和の話ですか? 蕎麦の時代は終わったんですよ。今はタオルです」
タオルを上野課長に押し付けてみる。
やっと、受け取った課長。
「買ったのか?」
「え? やだ、正真正銘、買ってきたタオルですから、ご心配なく」
ーーー買ったのか? とか普通聞くかなぁ。信じられない。
「タオルの事じゃない。このマンションだ。買ったのか?」
「ああ、マンションね。はい、もちろん」
鼻息荒くして返事をした。
ーーー買いましたとも! 私のお城なんだから!
「最悪だ。俺は、これからの人生をお前に見下ろされるばかりか、踏みつけられて生活するのか?」
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