恋は会議室で起きているのか

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恋は会議室で起きているのか

終業時間近くに会社の廊下を歩いていたら、向こうから格好をつけて歩いてくる男が見えた。実際は、格好つけてないのかもしれないが何と無く鼻につく歩き方には違いない。 自信過剰なオーラが漂いすぎていた。 俺は、格好いいだろ? 俺、最高だろ? 俺に惚れちゃうだろ? とでもいいたげなうぬぼれの激しい独特な雰囲気。 目を凝らさなくても、わかった。 ーーーあれは下に住む上野課長か。昨日のアレで顎とか怪我してるかと思ったけど……大丈夫みたいね。 少しホッとした。嫌な上司でも怪我をさせたとなれば責任を感じてしまうところだった。 今日、私には鼻を高くして課長に言ってやりたい事があった。 大股なのか、足が長いから歩幅が大きいのかわからないが凄く近づいてくるのが早い。 課長も私に気がついたようで、視線があった。 視線を合わせたまま歩いてくる課長に何故だか、ひどく緊張していた。 「あ、課長、お疲れさまです。あのですね……」 横の通路から出てきた男性社員に課長は話しかけられてしまった。 ーーー仕方ないか。今日は、ベッドから落ちませんでしたよって、威張りたかったのに。 私は、課長の横を頭を下げて通り過ぎた。 「山田、ちょっと話がある。第一会議室で待っててくれ」 通り過ぎてすぐに課長から声をかけられていた。 振り返ると、課長は男性社員と会話を続けたまま片手を肩辺りまであげて、しっしっと犬を追い払うみたいに掌を動かした。 ーーーえっ、会議室で話? 長い説教とか嫌なんだけど。 嫌な予感がして私は、とぼとぼと第一会議室へと歩いた。
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