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BLかるたで遊ぼう
次の日。
「おー、木戸っち、ちゃんと来たっ。えらーい!」
茶道部の和室に入るなり、へらっと言ってきた美少年を陽一は睨みつける。
「来たくて来たわけじゃない!」
ハルトはその抗議を華麗にスルーして、閉めてある襖に向かって声をかける。ちなみに今日も半裸だ。
「琴羽先輩、BLモデル来たよー! 籠ってないで、でてきなよぉぉ」
「んー……聞こえてる」
気だるげな声が返ってくるが、なかなか現れない。
「……座れば?」
「ふざけろっ。こんなところでくつろげるか!!」
臨戦態勢をとかない陽一に、ハルトは、あははっと笑う。
「とげとげだなぁ、あれっくらいのことで。ちっさー」
「おい?」
「んー?」
「あんなこと、しょっちゅうなのか? お前ら、人の弱みを握ることに手馴れ過ぎているように感じたが?」
「あー。必要に応じて、的な?」
ハルトは少女のように可愛らしく笑ってから、厳しい目つきの陽一に吐息をついた。
「木戸っちは、わりと特別仕様……ったく、なんでこんな平凡なのをさ」
「それは、どういう?」
「こっちが聞きたいよ。なんも知らないみたいだけどぉ、琴羽先輩はすごいんだ。あの人がここにモデルとして呼ぶ人間は、生徒会長とか全国優勝したサッカー部の主将とか、そういう超有名人なんだぞ?」
「待て! そんな連中を、あんなふうに脅してるのか!?」
「いや? ちょっと呼び出して話を聞くくらいだから、そんな必要ないない」
「……俺はなんで二週間」
「だから特別仕様って言ってるんだよ~」
ぷくーっと頬を膨らませて、ハルトは上目使いで陽一を睨んだ。
「なんで、木戸っち、あの人に選ばれた?」
「……そ、そんなの分かるわけ。会ったこともないのに」
「つっまんねーの! ……もうっ、突っ立ってるなら手伝ってよ。僕はお茶を入れるから、そこの押入からお菓子の箱もってきて!」
ハルトが大きな水筒とタンブラーを取り出すのを見て、陽一ものろのろと動き出す。押入を開けると、高そうなお菓子の箱や缶が10以上積んであった。
「……なんだこの、菓子の山は。誰の弱みを握って、手に入れた?」
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