文芸部にようこそ

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 紗白にうながされて先に中に入り、背中で紗白が続く気配を感じた。扉が閉まる音が妙に大きく聞こえた気がして、慌てて、他に意識を向ける。 「えっと、なんか変わった教室ですね。旅館みたい、な?」 「うん? もともとは茶道部が使っていた、お茶室なんだよ」  外から見ると普通の教室と同じだが、中は入ってすぐ靴を脱ぐようになっていた。先客がいるようで、陽一と同じ一年生の青い上履きがある。  そのことが残念でありながらも、陽一はホッとした。  二人っきりとか無理だしっ。てか、これはやっぱりあれなのかぁ。  たたきを上がって数歩分は板間で、右手と正面に襖がある。正面の襖を開けるよう言われ、陽一は手を伸ばし……突然、内側から開かれる。 「わっ……え……」  次の瞬間、陽一の足下を白い影がすり抜ける。しかし、彼がそれが何か確認する前に、襖を開けた人物と目があった。 「およ? なにこの平凡なの? あ、琴羽先輩。これなーに?」  そう自分を指さしたのは、女の子と見まがうばかりの美少年だった。  異国の血が入っているのだろう。柔らかそうな髪の下で輝く瞳は、明るい水色。なめらかな薔薇色の頬。  身長は陽一よりも十センチほど小さいが、すらっとしている。モデルのように細い体つきだが、細身でもしっかり筋肉がついているのがわかった。  そう、嫌になるくらいわかるのは……
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