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「っ。お前、なんで裸なんだよっ!!」
「えー。だって、エアコンきかなくてあっつい! 下はいてんだから、いいじゃん!!」
「ダメだ、着ろ! 女の先輩がいるんだからっ」
「いや? 私は気にしないよ」
さらっと言われて振り返ると、紗白はいつの間にか胸に白猫を抱いていた。さっき足下を通ったのは猫だったらしい。
……って、なんで猫が学校に! 半裸の変なのは出てくるし、文芸部ってなんなんだっ!
「喧嘩はもう終わり? それなら二人とも中に入りなさい。紹介しよう」
紗白は畳の部屋に入っていく。綺麗に正座し、膝に白猫を乗せると、二人をじっと見上げた。
「座ってください」
陽一は慌てて座り、その隣に半裸の美少年が寝そべった。
「木戸くん、彼は如月ハルト。一年生で副部長をしています。ハルト、彼が木戸陽一くんだよ。この間、話したよね?」
「……なんか、そーぞーしてたのとちがーう」
「面倒を見てあげてください」
いやっ、俺は見学に来ただけだし。それ以前に、こんな奴に面倒をみてもらうなんて嫌だと陽一は思ったが、それはハルトも同感だったらしい。
「せんぱーい、僕ぅ、男は対象外」
「おいっ、気持ち悪い言い方すんなっ!」
「いや~? ここ大事なとこだから。それとも木戸っち、そっちもいける奴? カンベ~ン」
「ふっざけんなよ! ってか、変な呼び方するなっ!」
へらへら笑うハルトと、苛立ちを露わにする陽一を、紗白は白猫を撫でながらどこか楽しそうに見ている。
「仲がいいね」
「「どこがっ!」」
「ほらっ、息もぴったり。ふふ……うふふふっ」
紗白は目を細めて笑いはじめた。無邪気に、二人を見つめて……
それはとても綺麗な微笑みであったが、陽一はなぜか違和感を覚えた。
なんか、背筋がぞわぞわするような。
わけも分からず鳥肌が立った左腕をさすっていると、ハルトがへえと呟いた。
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