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「その、それなんですがね、“徳”って何でそんなに大事なんですか?
私のイメージでは馬鹿正直に生きて人に奉仕して人格者になる・・みたいな感じのものだと認識してますが・・岐司さん、失礼ながら世のため、人のためなんて偽善ばかりしかないじゃないですか。
こう言っちゃなんですが世の中は正直者なんていいように利用されて損しかしない・・そうじゃありませんか?」
「・・少し曲解してますね。
まさしく現世は矛盾に満ちています。
なぜならそうあるべきだからです。
そこで殆どの人は何十年という人生の時間を費やしながら悲しみ、憤り、時には絶望を経験することで身を持って本当に大事なことに気づかなければならないのです。
その為に貴方が思う損な生き方は徳を積むうえで重要になります。
それは苦しい状況を加算させますが、そのなかにあっても己の悪心を抑え、正しきを実践していく為に大昔から現世の社会は基本的に変わらないのです。」
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