キミの温もりを背中で

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「何?」 「なんでもない」 涼介は、可愛いとか綺麗とか言われるのがあまり好きじゃない。 うっかり言ったりしたら、すぐに不機嫌になる。 ちょっと、面倒なんだよねw クスクス笑ってると。 「なんだよ、気持ちわりぃな」 「ごめんごめん」 「気持ちこもってねぇ」 「そんなことないよ」 「じゃ何?なんか、エロいことでも考えてたの?」 涼介はにやりとして、俺を見る。 「わかった?」 「え、マジ?」 「うん。涼介とエッチしたいなぁって」 「ふざけんな」 「ホントのことなのに」 涼介は、また始まった…みたいな顔をして。 「あのさ、学。そういうことは女の子としてください」 そう言って、俺の手から手を離すと、持っていた缶のプルタブを開けて一口飲む。 「うわ、温くなった」 「あたりまえでしょ」 そう言って、涼介から缶を取ると、俺も一口飲む。 「ぬるっ」 「だから言ったじゃん」 涼介は笑って、また俺から缶を取り返す。 「俺のなんだけど」 「一本飲むほどじゃないし」 「じゃさ、帰りの運転は涼介ね」 「やだよーさみぃーもん」 バイトのシフトが同じ日は、俺と一緒に俺の自転車でここまで来ている。 今日は、行きは涼介が運転してきたから、帰りは俺ねってことにしてたんだけど。 「コーヒー代」 「ええーだったら、払うよ」 「そこまで?」 「やだ、さみぃ」 涼介はすげぇ真面目で人にわがまま言わない。 なのに、こういうとき。いや、俺だけにはちょーわがまま。 それが嬉しかったりするんだけどw 「もぉ」 「いいじゃん」 涼介はさっさと店の脇に止めておいた自転車の後ろに乗り。 「学、はやく」 って、急かす。 俺はしぶしぶって感じを作りながら、自転車に乗る。 「しっかり捕まっててよ」 「うん」 涼介は俺の腰にぎゅーって捕まる。 「あったけぇ」 「人をカイロ代わりにしないでよね」 なんて言ってるけど、嬉しくて。 「いくよ」 「いけぇ」 朝方の妙なテンションの男2人。げらげら笑いながら、自転車をこぎ始めた。
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