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 ゴミ袋法被隊がひとまず脱衣所から出て行くと、万里子は予定になかった入浴をするために服を脱ぐことにする。まさかこんなおもてなしを受けるとは、とくすぐったく思いながらも頭の片隅では本日の家事スケジュールの予定変更をパタパタと組み替えていた。買い物に行っておいてよかった、洗濯物の取り込み先にしたかったなぁ、でも夕食前にお風呂なんて久しぶり……などと様々なタスクとその変更による喜怒哀楽に苦笑しそうになる。  それはさておき、わはは温泉を楽しみましょうか。と浴室に足をつける。  すると脱衣所からは見えなかった部分が目に入り驚いてしまう。なんとまあ、浴槽側の壁にカラフルな装飾がされているではないか。  青と白の色画用紙で作られた大きな富士山はおそらく温泉というよりは銭湯の象徴ではあるが、なるほどキレイに作られている。浴室のゆげを吸い込み若干ふやけてはいるが。 (これどうやって貼ったわけ?)  とつい気になった万里子が色画用紙の背面を指ではさみ込み見てみれば、輪っかになった強力な布ガムテープでしっかりと固定されているのであった。     
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