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背中からの振動でゆらゆらゆらりと万里子の体は揺れて前のめりになる。やがて小さな三助は力つき「終わりですよ」とボディタオルを投げやって次にはシャワーをかけてくれた。洗い足りなかった部分は後で自分でしましょ、と万里子は考え颯に声をかける。
「颯も一緒に入る?」
「え、やだー」
生意気にも颯はそう言い、キャハハと笑いながら浴室から出て行った。最近では良明とばかり入りたがる颯。ちょっと顔も似てきたかも、と万里子は小さく笑った。
改めて体も洗い終えたので湯船に肩まで浸かり、小さく息を吐く。浮いているミカンを一つ手に取り揉みしだくと、親指で潰してしまって汁が飛び出し驚いた。果汁がお湯に溶けて香りが濃くなる。もう一度息を吐く。もやが顔にかかる。ああ──気持ちいい。万里子はゆっくりとまぶたを閉じた。
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