3 モテ男の包容力

4/4
5077人が本棚に入れています
本棚に追加
/534ページ
 だって、超初心者が穴を綺麗に補修するっつうのは難しいだろ。だから、俺はいらない靴下だけど、穴開けて、実際に細かく教えたんだ。 「あれ、穴わざと開けたんだろ? あの時は、ちょうどいいのがあったから、なんて言ってたけど。ありがとうな」 「……」 「その時に、写真ガン見してテーブルと手でお前がケイトさんって、今、わかったわけだけど」  別に親切にしたんじゃねぇよ。カズさんが、つまりは和臣がそのぬいぐるみをすげぇ大事にしてたから、そういうのイイじゃん。俺、そういうの好きだから、ほっとけなかったんだ。 「そんで、ケイトさん、っつうか、剣斗、丁寧に教えつつ、普通に会話もしてくれただろ? それがすげぇ礼儀正しかった。良い人だなぁって思った」  物を大事にする、っていうの、俺は好きなんだ。自分が物を作るからなんだと思うけど、どんな物だって作った人間がいる。たとえ機械が作った量産品だったとしても、箱詰めして、店に並べた人がいる。だから、俺は大事にしたいって思う気持ちがすごく良いと思っただけ。好きだと、思っただけ。 「んで、やっぱ同じ人間なんだなぁって」 「……」 「ツイッターで話してた優しくて親切で礼儀正しいケイトさんのまんまだなぁって思ったんだよ」  俺も、思った。 「よし。そしたら、次、サクサク進めるぞ。マジで、ケイトさんを受験大敗とかさせらんねぇから」  ツイッターでたくさん話したカズさんは心地よくて、なんかどっかゆったりしたとこがあって、包容力? 大人の余裕? わかんねぇけど、話すの心地良かったんだ。それと同じ心地良さが和臣にもあって、すげぇ嬉しいっつうか、気楽っつうか。 「受験生に、大敗とか、不吉なワード普通に言うなよな」 「あはは。お前、そういうの気にすんの? 心配すんな。俺が必ず、合格させるから」  楽しいって感じたんだ。
/534ページ

最初のコメントを投稿しよう!