4 パラリラパラリラって

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 いいじゃん。もう手繋いで、見つめ合って、良い雰囲気だったじゃん。夏祭りでキスもしてたじゃん。なら大丈夫だろ。言えよ。早く。もだもだしないで言ってみろって。ぜってぇ向こうもお前のこと好きだって。そこまでしといて違ってたら逆にビビるわ、って思いながら俺はその瞬間を、ネギ煎餅と共に見守ってた。 「必死よ? 俺は、続き気になるじゃん」 「はいはい」 「はぁ、これでスッキリだわ」 「でも、こんなんわかりきってんじゃん。このあと、こいつが走って、追いかけて、あいつに告、」 「ぎゃあああああ! 言うな!」  必死だなって笑った俺に和臣が、録画が途切れた時の気持ちを熱弁してくれる。時間延長なんて聞いてないって。いや、言ってたし。先週、最終回は時間が十五分長いって言ってたし。 「おー、頑張れ」  和臣がテレビの中で、告白しようかどうしようかと悩む主人公を応援してやってた。俺はもうそのシーンを観てるから、テレビドラマの代わりに、和臣の横顔を見てる。 「ビビるよなぁ。うんうん。頑張れ」  そういうもん? 俺は、早く言っちまえって、もどかしかったけど。恋愛したことねぇから、こういうのわかんねぇ。この年でって、思われるかもだけど、恋愛っつうか、彼女も、まだできたことがねぇ。だから、キスもその先も――。  心臓がバクついた。  次の展開をわかってるから。この次にどんなシーンが来るのか知ってる。告って、やっぱり全然余裕でオーケーもらえて、そんで微笑み合って、この後、キスをする。  ほら、今から、ちょうど……そのキスシーン。 「……」  今、まだ、キスシーン。 「……」  やべぇ。これ、気まずい。 「……」  まだかよ。こんな長かったっけ? テレビ画面ガン見もできないし、かといって、和臣のほうは見れないし。もう、先に勉強再開しちまうか。俺、これもう見たからとか言って。
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