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「白い息吐いてみたり、満員のバスで流されるし、顔真っ赤だし」
肺のとこがくすぐったくて、落ち着かないし、それに。
「変なところで不器用だし」
それに、髪をこんなふうにボサボサにされるのも、笑われるのも、たぶん、他の誰にされてもムカついてた。腹が立ってた。けど、俺は腹を立てるどころか、ただ慌てるばっかで。顔面はずっと熱いまんまだし。
「普通に、可愛いだろ」
「バ、バカじゃねぇの」
反論できてこの程度、理由は、簡単だ。
「ほら、迷子になるなよ」
「なるかよっ!」
「や、なりそうだから言ってんだわ」
和臣は笑わないから。今、「っぷ」って笑ったけど、でも、笑わないから。手芸してるヤンキーで、器用なはずなのに不器用な俺をそのまま笑ってくれるから、からかうけど、からかわないでくれるから。日本語変だけどさ。それが嬉しかったんだ。
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