7 こってりこっくり優しい甘酒

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 俺は小学生のガキかよ。そう思うけど、何も言わずに、ちゃんとそこで待ってた。くすぐったかったんだ。心配されたことにも、和臣も甘酒を一緒に飲んでくれることにも、肉まんも、なんもかんも。和臣がくれるもの全部がくすぐったくて、なんかめちゃくちゃ喜んでるみたいに、笑った顔のままだった。 「ほら、ヤケドするなよ」 「おぉ」  大事に。大事に飲んだ。とろりとした甘酒はこってりとした甘みがあって、湯気さえもあったかくて甘くて、優しかった。肉まんも美味くてさ。  ふたりで端の石が積みあがってるちょっとした段差のところに腰を下ろして、話していると、あっちこっちに白い息が広がった。鼻のてっぺんを赤くしながら、肉まんを頬張って、俺は、あの同級生の女のことも、ずっと帰省してなかったことも、何も聞かなかった。俺といる時に楽しそうに笑ってくれたから、俺のことをからかう時も笑ってたから、だから何も言わず「うっせぇな」って言って笑っていた。  帰りのバスは行きに比べたらマシで、そこまでぎゅうぎゅうにならずに駅まで行くことができた。バスを降りた瞬間、なんか急に寒さがひどくなった気がする。肩をぎゅっと縮めて、ダウンのポケットに手を突っ込んでても、それでも寒くて仕方がない。神社の辺りをうろついてた時はこんなに寒くなかったのに。  駅にある時計を見ると深夜の二時だ。時間を気にしなかったから、お参りの途中で聞こえた除夜の鐘でなんとなく把握したっきりだったけど……もう、そんな時間なのか。 「うちまで送るよ」 「い、いいって」  何、そのイケメン対応。慌てて遠慮した。 「でも、そうもいかないだろ。夜中の二時だぞ」 「は、はぁ? お前、男子中学生じゃねぇんだぞ」 「そういう問題じゃない。俺が心配なんだよ」 「……そっ、そういうの過保護っつうんだかんな」  なんて返したらいいのかわからなくて絞り出した文句に、和臣が笑って、おお、よく知ってるなって、バカにしてる。だから、逆にバーカって連呼して、肩に、背中に、体当たりしてやった。 「ほら、ちゃんと前見て歩けよ」 「バーカ」
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