9 ヤバイやばいヤバイ

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 指が、髪の質感を確かめるようにもっとしっかり中に入り込んで来て、これ、ヤバイ。ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。  ヤバイ。なんか、反応しそう。 「っ」  っていうか、もう――。 「剣斗」 「っ、ン!」  耳朶を摘まれて、びっくりして飛び跳ねた。そしてその拍子に顔を上げちまった。 「!」  目が、合った。 「っ」  耳、触るな。そこ触られると、もう、ヤバイんだって。なんでかとか、どうしてとか、考える暇もない。ただ戸惑うばかりの頭と、素直に指に反応する身体。熱くて、苦しくて、腹の底んとこがジクジクする。 「あ、っ……の」  疼いて、そんで、気が付いたら、その手を掴んでた。 「……剣斗」 「っ」  俺、何してんの? なんで、手掴んでんの? なんでご褒美が寿司でも服でもなくて、頭? つか、この手?  なんで、触って欲しかった? 「あ、かずっ……おみ」  そんなの、並べたらすぐにわかる。公式もなんもいらない。会いたい、話したい、触りたい、触って欲しい、笑って欲しい、それをひとつずつ足して、足して、そしたら、イコールで、答えが出てくるだろ。全部の俺が欲しいものは、ひとつの答えに繋がる。その答えは。 「あ……俺っ」  その答えは。 「安上がりでラッキー」  たったの二文字。
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