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「もうちょっとヒント! ちょっとでいいから」  全く、一体誰に頼まれたんだろう。牧野先輩、かな?  牧野先輩は部活中、気付くと僕のことをスケッチしている時があった。絵の上手な先輩なんだけど、なんで僕のことを描くのか聞いたら『かっこいいから』と言われた。生まれてこのかた牧野先輩以外の人にかっこいいなんて言われたことないから(悲しいことに『可愛い』とはよく言われる)、それは冗談なんだろうけど。  なんとか思い当たるのは牧野先輩くらいだけど、先輩なら人に頼まないで自分から言ってきそうだよなぁ。誰に頼まれたんだろう? と、しばらく黙って考え事をしていたが、まだ高田先輩は答えを待っていた。どうしよう、高田先輩が好きかもっていうのは今思いついたばかりで、他の人になら言ってもいいけど、本人を前にしては。 「一年生?」  違う。一年生、じゃない。 「高田先輩、が」 「?」 「好きな、人、です」  先輩は複雑そうな表情をした。 「ちょっと、お世辞は言わなくていいよ?」  言ってしまって、僕は更に肯定していた。 「お世辞じゃないです」  高田先輩は素敵な人だ、本当にお世辞じゃない。思わず答えると高田先輩は後ろを向いて、 「ごめんあたし、嘘ついた」  と言った。 「えっ」     
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