EP 2 過去視

15/26
前へ
/65ページ
次へ
 本人にその意志があったか?どうか?は別として……。  「 まさか…… 。  仕掛けたのは此方だ。返り討ちにあっても恨む筋じゃない。況してや、母上は最後には正気ではありませんでしたからね。」  テーブルに左の片肘を付けて、手の甲に顎を乗せたヴィオ=ラス長老は薄笑いだった。    アイリーン=エル様の悲劇。しかし、彼は悪びれている様には見えなかった。他の長老は複雑な顔を作る。  魔界だから? 悲劇も不幸もてんこ盛りだ。  そして、我等魔族を持ってしても未だに解明されないミステリーもてんこ盛りである。  マリン=エル様の存在自体も長らく謎のまま…… 。  「 で?  どうしてこの娘はあなたの元に? 誘拐でもしたの? 」  …… なんだか面接というより取調室の事情聴取の雰囲気だ。  退屈なのか、幼いマリン=エル様は亀と話をしている。  「 何を話しているのかしら? 」  「 昔のコトですよ。」と、亀は応える。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加