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あの揺らめく橙色の灯りが。
…… 確か消した筈。
その時代の誰かが使用していたのなら、その誰かが居なくてはならない。し、中央のテーブルの上の魔方陣も、剣もコップも聖石も映し鏡の台の模様も、間違いなく自分の物だった。
そして、映し鏡には、
三人の長老が先程の部屋に置き去りにした幼いマリン=エル様を迎えにゆく姿が映っている。
わたしは、ちょっと混乱した。
燭台の火を消し個室を出た。
その時、映し鏡には何も映ってはいなかった。
魔術は継続中。
では、個室を出る前からわたしの意識だけ、過去に戻っていた、
と言う事だろうか?
個室に戻ったら、燭台の火はついていて、鏡には過去の映像。
わたしは、今閉めたばかりの背後のドアを振り向いた。
わたしがやっとくぐれる細長いドア。あのドアが空震のせいで、過去と未来を繋いでしまったのだろうか?
映し鏡に目をやると、
アルタナ=ベル長老がヴィオ=ラス様の背中越しに言っていた。
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