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「 御前をご無礼申し上げます。
予てより、ご所望されていたヴィオ=ラス様のお部屋の入室の許可を、聖魔王トリアニティ様より降りました。
何時なりとご来室下さるようにとのお言葉でございます。」
「 ご苦労でした。
近場に良い湯の宿があります。ゆるりとされては如何かな? 」
「 ご配慮忝なく存じます。」
用が済むと、彼はわたしの前からまたゆらりと消えた。居間も元の昼前の明るさに満ちる。
彼は、湯宿に行くかな?
と、つまらぬ独り言を言いながらソファーから立ち上がった。
新聞も読まぬまま、旅支度を整え始める。
隣の新聞屋さんにも配達中止をお願いせねば。エリーのお見舞いは帰って来てからだな。
ヴィオ=ラス様。
あなたが、何を調べて、何を知り、何を考えておられたのか? マリン=エル様だけではない。
もっと、もっと古くから存在する数々の謎の手掛かりがあるに違いない。
ー必ず、突き止めてやる。
闇の中から、引き摺り出して…… 。 ー
完
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