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「仲直り、しよっか……?」
「うん」
私達カップルのルール、仲直りする時は一緒にお風呂に入る。
「お風呂沸かしてくる」
「もう沸かしてる」
さっき部屋から出たのはそういう事ね。
「ん……」
駿は私の隣に座り、コンビニの袋を差し出してくる。
「なに?」
受け取って中を見ると、私が大好きなメーカーのなめらかプリンがふたつ入っていた。
「風呂沸くまで食べてよっか」
「うん」
私はプリンとスプーンをひとつ、駿に渡した。
「お風呂沸いたら先に入って待ってるから」
私は先手を打っておく。後から入るのはなんだか恥ずかしくて苦手だったりする。
「おっけ、分かった」
一応未だに喧嘩状態という事なので、それっきり口をきかないで黙々とプリンを食べた。
ピピピッ
お風呂が沸いた合図が鳴ったので、私は着替えとバスボムを持っていってお風呂に入った。
バスボムを入れると、お湯はミルキーピンクに染まり、赤い花びらが出てきた。
湯船に浸かると、手前に寄って体育館座りをする。
1分もしないうちに駿が脱衣場に来たのが分かる。
私はドキドキしながら少し俯く。
「入るぞ」
「うん」
駿が自分にお湯をかけてるのが聞こえる。
大きな水音がして、水かさも増して後ろからぎゅっと抱きしめられる。私はそっと駿に寄りかかる。
「さっきは本当にごめん。友達が結構進めてるの聞いてムキになって、お前優しいし大丈夫かなって甘えてた……。ごめんな?」
駿はそう言って更にぎゅっとしてくれる。
「私こそごめんね、コンセント抜いちゃって……。データ消えちゃったりしてない?」
「セーブしてそんな経ってないから平気。それよりさ、お風呂出たらデート行く?」
「ううん、今日はおうちでゆっくりしたい」
「そっか」
あとはもう言葉はいらなくて……。私たちはしばらく湯船の中で寄り添いあった。
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