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墜落
『その日の太平洋上は、とても凪いでいた』
後に発見された飛行記録の解析結果である。
グォ‥‥ン‥グォ‥‥ン
微かなエンジン音を立て、442便はアメリカから日本の岬ヶ丘国際空港を目指して飛行していた。
「機長、そろそろ目的地です。乗客にシートベルトの案内を出しましょうか?」
副機長が声を掛ける。
「うん?ああ‥‥そうだな。岬ヶ丘は洋上空港だからな‥‥どうも近づいても風景が変わらないので『つい』見逃してしまいそうになっていかんよ」
苦笑いを浮かべる機長の顔に緊張感は伺えない。
「了解です。CAに伝達しました。到着まで後15分ほどですよ」
副機長の声にも余裕がある。
「‥‥何しろ『リクエスト・ペーパー』がある以上、私らは余程の緊急時でもなければ『居るだけ』というお飾りだからな‥‥」
退屈そうに、機長が大きく伸びをした。
『リクエスト・ペーパー』
これこそが、22世紀の科学の大きな結晶だった。
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