生還

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『想いを残して死んだ人間が、家族や恋人の元にやってくる』という‥‥ 「いや、待て!まてまて。今のは‥‥そう!『気のせい』だしっ!」 心を強く持とうとした瞬間、更なる追撃が来た。 ピー‥‥ンポー‥ン‥‥ また、チャイムが鳴ったのだ。確かに鳴った。もう、『幻聴』では済まされないレベルだ。 「いやぁ‥‥参ったぞこれ‥‥どうすんだよぉ‥‥」 思わず左手の爪を噛んだユキナの耳に、今度はインターフォンから声が聞こえてくるではないか。 "おい‥‥!聞こえるか?ボクだよ、ヒロキだ!頼む、此処を開けてくれ‥‥!" 心なしか、その声には不気味さが漂っているような気さえする。 「『やっぱり』じゃねーかー!」 ナツキはヘナヘナとその場に座り込む。 「コレはアレでしょ?下手に『まぁ、良くぞ帰って来てくれたわねぇ!』ってドアを開けた瞬間に『お~れ~だ~ぁぁぁぁ!』とか言って、化けて出て来るヤツなんでしょ?!そう、子供の頃にテレビのオカルト特集で見たんだから!アタシ知ってんだから!」 すると今度は、ドアを叩く音が聞こえ始めた。 ドンドン!ドンドン! "おいっ!ナツキっ、頼む、起きてくれ!頼むからさ!早くっ!" 「‥‥ん?」 ここに来て、やっとナツキも『何やら様子が変だ』と気づく。 え?もしかして『本物』なの?     
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