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「100万年か‥‥まず『有り得ない』な。だとすると、可能性はふたつにひとつ、という話だ。1つは我々が全く予見出来ない画期的なハイジャック方法をテロリストが『発明』した‥‥と。2つめはもっと深刻で、リクエスト・システムそのものの『バグ』か『セキュリティ・ホール』を突かれた‥‥かだ」
出席メンバーの間に緊張が走る。
「システム自体の問題、となると厄介ですな‥‥」
現時点において、この世界はそのほとんどをリクエスト・システムに依存していると言って過言ではない。それこそ、航空機から自動車、家電製品から社会インフラに至る全てが、リクエスト・シテスムによって運営されている。
仮に『これ』に何かしらの問題‥‥それも致命的な欠陥があるとなれば、世界は大混乱に陥るだろう事は容易に想像できる。
「仕方ない、世間は騒いどるが『報道規制』だな。中途半端な思惑と思い込みで動かれるとパニックになるだけだ。確固たる事実が出るまでは『何も公式見解を出さない』。それでよろしいですかな?」
座長がメンバーを見渡した。
その時、
『こちら、スイスのIRO国際総本部です。発言の許可を求めます』
テレビ電話で参加していたIRO本部から声があがった。
『報道規制が敷けるのでしたら、極秘事項をお知らせしたい思います』
「何‥‥IRO本部は何か知っているのか!」
メンバーが色めきだつ。
『絶対の秘密厳守でお願いします。実は、リクエスト・システムに対して異議を唱える集団が存在します』
本部の担当は、淡々と説明を始めた。
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