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伏臥
「お前さぁ‥‥それ、ジュリエットだっけ?また調整してんの?」
ヒロキは、ナツキの手元をしげしげと覗き込んだ。
「うん‥‥何しろ、年代物の機体だからね‥‥。所々モジュールが古くてさ、スペックから『サポート切れ』が通告されてんの。だから、都度ごとに更新しなきゃなんだけど‥‥『そこ』だけ代えるとリクエスト同士が『カブって』フリーズするし・・・調整が大変」
ふっー‥‥とナツキが溜息をついた。
「『サポート切れ』かぁ‥‥そう言えばジュリエットは元々、ナツキのお爺ちゃんが作った機体だっけ?」
ヒロキの言う通り、ナツキの愛機・ジュリエットは彼女の祖父が最初に構築を始めたのだ。
「まだ、リクエスト・システムが本格運用を始めた直後ぐらいだったからね‥‥色々と苦労はしたみたい。けど『何時か役に立つから』って、ずっと言ってたから‥ところで、アンタは方はどうだったの?今回の『出張』は随分と長かったみたいだけど?」
大量のリクエスト・ペーパーに目を配りながら、ナツキが尋ねる。
「出張?ああ‥‥何しろ、お前に散々イヤミを言われながら『行かさせて頂いた』出張だからね。感謝してるよ」
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