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ナツキの眼はじっと海の方を向いている。
「え‥‥?『破滅させてくれる男』?何だよ、そりゃ」
怪訝な顔をするヒロキだが、ナツキの声は冷静だった。
「だからこそ、アタシはアンタに惚れたのかもね。ここ数日、ずっとそんな事を考えてたわ」
「ナツキ‥‥」
ナツキから近寄りがたい雰囲気が出ていると、ヒロキは悟った。
「‥‥何が言いたいんだ、ナツキ。ハッキリ言ってくれ」
ナツキがヒロキの方に向き直った。
「言ってイイの?じゃぁ言うわ。アンタ‥‥此処でアタシを『殺すつもり』なんでしょ?」
「‥‥。」
ナツキの衝撃的な問いかけに、ヒロキは無言だった。
その頃、事故調査委員会の方ではIROから事件の進展が伝えられていた。
『皆様のご理解とご協力を感謝します。お陰様で、犯人グループと思われるNJOのメンバー洗い出しが完了しました』
「早いな‥‥流石ですね」
おお‥‥と委員会から歓声が上がる。
『それで、メンバーの一味と思われる人物の一人が、442便に搭乗していた事が判明しました』
「なんと!」
座長が立ち上がる。
「誰ですかな、ソイツは?」
『日本名と思われますが‥‥"ヒロキ・ニッタ"とあります』
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