外出

5/5
前へ
/44ページ
次へ
ナツキの眼はじっと海の方を向いている。 「え‥‥?『破滅させてくれる男』?何だよ、そりゃ」 怪訝な顔をするヒロキだが、ナツキの声は冷静だった。 「だからこそ、アタシはアンタに惚れたのかもね。ここ数日、ずっとそんな事を考えてたわ」 「ナツキ‥‥」 ナツキから近寄りがたい雰囲気が出ていると、ヒロキは悟った。 「‥‥何が言いたいんだ、ナツキ。ハッキリ言ってくれ」 ナツキがヒロキの方に向き直った。 「言ってイイの?じゃぁ言うわ。アンタ‥‥此処でアタシを『殺すつもり』なんでしょ?」 「‥‥。」 ナツキの衝撃的な問いかけに、ヒロキは無言だった。 その頃、事故調査委員会の方ではIROから事件の進展が伝えられていた。 『皆様のご理解とご協力を感謝します。お陰様で、犯人グループと思われるNJOのメンバー洗い出しが完了しました』 「早いな‥‥流石ですね」 おお‥‥と委員会から歓声が上がる。 『それで、メンバーの一味と思われる人物の一人が、442便に搭乗していた事が判明しました』 「なんと!」 座長が立ち上がる。 「誰ですかな、ソイツは?」 『日本名と思われますが‥‥"ヒロキ・ニッタ"とあります』
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加