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覚悟
「アタシを殺すつもり、じゃないの?」
ナツキの問いかけには確信めいた響きがあった。
二人の間に無言の時間が流れる。
「‥‥どうして、ボクがナツキを殺すと思ったの?」
ヒロキの声が低い。
「え?アタシが生きてるとアンタは困るんじゃないの?」
当たり前、と言わんばかりにナツキが問い返す。
「だって、アンタが『442便』を墜落させた犯人なんでしょ?」
ぴくっ‥‥とヒロキの肩が動いた。
「・・・おいおい、酷い言いがかりだな・・・何を証拠にそんな事を言うんだ?」
「証拠?証拠も何も‥‥」
やれやれ、とナツキが大きく息を吐いた。
「現代の旅客機ってのは、海上での不時着を想定して水深100mまでの水圧にだって耐えられる仕様なのよ?そんな頑丈な外殻から、どうやって生身で『脱出』出来るワケ?仮に外殻が『潰れた』時点で海中に放りだされたとしても、外は10気圧よ?一瞬でペチャンコだわ」
「いや‥‥どうやって助かったのは、自分でも分からないが‥‥」
もごもごとヒロキが口ごもる。
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