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それまで黙っていたヒロキが口を開く。
「‥‥それで?そこまで気づいてて、どうして『此処』に来たの?『殺されるかも』って分かっていながら」
先ほど迄とは異なる淡々とした口調に、ヒロキの本気が現れているとナツキは感じた。
「さぁ‥‥どうしてかしらね?フツーに警察へ通報すりゃぁいいのにね。アタシにも『それ』は分かンない。でも、『分からない』のはアンタも同じじゃないの?」
「ん‥‥?」
ヒロキが怪訝な顔をする。
「だって、アタシがこうしてワザワザ『波打ち際』に立ってるのにさ。アンタ『何もしない』じゃない?チャンスだよ?今なら簡単に突き落とせるよ?何で『そこから動こうとしない』のよ?」
すっ‥‥と、ヒロキが視線を逸らす。
「ヘンなヤツ。442便で何百人も殺したってのにさ。アタシ一人殺すのに躊躇するワケ?それともそれが『惚れた弱み』ってヤツなの?」
「‥‥。」
再び、ヒロキは黙った。
「‥‥と、言う事でね。アンタも『惚れた彼女を殺りにくかろう』って思ってさ。提案があるの。折角『ジュリエット』を持ってきたんだし・・・ジュリエット、『戦闘モード』スタンバイっ!」
『YES、Standby』
ナツキの声にジュリエットが反応する。
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