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ナツキは電気ケトルのスイッチを入れた。
"‥‥臨時ニュースです"
テレビから、アナウンサーの緊張した声が聞こえて来る。
「ん‥‥?何?」
ナツキがテレビの方を向く。
"さきほど、アメリカから岬ヶ丘空港を目指していた旅客機442便が『突如、連絡を断った』との発表がありました。レーダーからも反応が消えており、姿が確認出来ない事から最悪の場合は『墜落』の可能性もあるとの事です"
「ひぇ‥‥いまどき『墜落』とかあるのか‥‥」
その時、ナツキはふと思い出した事があった。
「待てよ‥‥彼氏のやつが『アメリカから戻ってくる』って、今日じゃ無かったっけ‥‥」
テレビが、搭乗していたと思われる乗客リストを読み上げている。
"‥‥ジェイ・バンリー、ヨシオ・タカナシ、ショウ・ミサワ‥‥"
そして、ナツキのイヤな予感は的中した。
"‥‥ヒロキ・ニッタ‥‥"
「ヒロキっ!」
ナツキは、思わず大声を上げた。
「マジかよ‥‥いや‥‥ウソだと言ってよ‥‥そんな‥‥」
手に持っていたマグカップが床に落ち、ガチャ‥ン!と音を立てて砕けた。
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