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だが、母親を励ます以上に自分自身に『そう』言い聞かせなければ精神を保てない気がするのだ。
"そう‥‥そうだね‥‥ゴメンね、迷惑かけて‥‥じゃ、また‥‥"
少し落ち着いてたのか、そう言って電話は切れた。
「はぁ‥‥」
大きく溜息をついて、ナツキは椅子に崩れ落ちた。
その頃、空港では前代未聞の事件を受けてパニックに陥っていた。
「くそっ!442便との連絡はつかんのか?!」
管制官が必死の呼びかけを続けているが、反応は無いようだ。
「室長っ!海上保安庁から連絡が来ました。岬ヶ丘の近海を航行していた漁船から、巨大な水しぶきが立ち上がるを目撃したと118番通報があったそうです!」
「水しぶきだと‥‥」
『最悪の事態』が現実化している気配が沸いてくるのを、室長は感じていた。
「『水しぶき』の方角はほぼ特定できましたが‥‥距離は不明との事です」
「距離はかまわん!その方角と、442便の予定航路をプロットするんだ!2つの線がクロスした点が『現場海域』の可能性が高いっ!」
管制室では全ての航空機を待機させて、事故の対応に当っている。
「了解です、少しお待ちください‥‥ポイント、出ました。G-A-12区域です」
「近いな‥‥よし、そのデータを海上保安庁に送れ!巡視艇とAI観測機での捜索を依頼するんだ」
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