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生還
次の日の朝。
ナツキは『昨晩、アレからどうしたのか』サッパリ記憶が残っていなかった。
晩御飯を食べたのか、食べなかったのか。
お風呂に入ったのか、入らなかったのか。
まったく覚えていない。とにかく何も手に付かないまま、ひたすらテレビの続報を観たり、ネットで情報を確認していたと思う。多分、その途中で意識が途切れて寝てしまったのだろう。
時計を見ると午前4時過ぎだ。冬の外は、まだ真っ暗である。
「ヘンな時間に起きたな‥‥」
ナツキはムックリと身体を椅子から起こした。
「痛てててて‥‥」
おかしな体勢で寝ていたせいで、身体のあちこちが軋む。
「とりあえず‥‥何か食うか‥‥」
フラフラと立ち上がった時だった。
ピー‥‥ンポー‥ン‥‥
玄関のチャイムが鳴った。
「えっ!」
ナツキは一瞬にして眼が覚めた。改めて時計を見るが、やはり時刻は朝の4時過ぎ。
間違っても『誰かお客が来る』時間ではないと言える。
ナツキの背筋に寒気が走る。
「いやいやいや‥‥アタシさぁ『そういうの』ってダメな性質なのよ‥‥勘弁してよね‥‥」
これは『話に聞く』パターンだ、とナツキは思った。
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