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事情
「え‥‥?『連絡するな』って‥‥どゆこと?」
ナツキが眉を潜める。
「どういうって‥‥そのままの意味だよ。連絡されると‥‥つまりボクが生きてる事がバレるのは困るんだ」
ヒロキが、人指し指を口の前に立てる。
「いや‥‥意味、分かんないし。だって『奇跡の生還者』だよ?テレビとかに出たらスターになれるじゃんか」
「だから!『それ』が困るんだよ」
なおも、ヒロキはナツキを押しとどめる。
「いいかい?そもそもリクエスト・ペーパーで運用されている現代の航空機が『墜落』なんて事は、本来『有り得ない』んだ。それが『落ちた』という事は、これはもう通常の事故じゃなくって、完全に『テロ』だと見て良いと思う」
確かに。『有り得ない』事が起きたという事は、かなり人為的な『何か』があったと見ていいだろう。
「でね、いいかい?その場合、犯人もしくは犯人達は『生存者』が出て証言をされると『困る』ハズなんだ。自分たちの正体がバレる恐れがあるからね‥‥だから、迂闊にボクが『生きてました』なんて出て来た日には、今度こそ『生命が危ない』んだ」
「いや‥‥でも‥‥」
ナツキは納得の行かない表情だ。
「何か‥‥考え過ぎなんじゃないの?」
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