物書きの風呂

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夕方5時過ぎ、俺は仕事を終えて家に帰ると風呂に入ってる昨日の湯を抜いた。 リビングに行って荷物を置いて愛猫達と戯れた。まァ一匹は素っ気なくてすぐにどっか行っちまうんだが……。 「ちゅーる買ってやんねェ」 軽く拗ねてみせても猫はお構い無し。 そろそろ湯も抜けたろうと風呂掃除をし、風呂を沸かす。 様々なサークルで自分の小説を宣伝してから今進めてる小説を開くが……。 「調子悪ィ……」 こういう時こそ風呂だ、甘味だ、珈琲だ。 そうそう、俺の趣味は執筆だ。人気とかはそんなにねェがな。 俺は財布を持ってドラッグストアへ行った。安い上にポイントが貯まるため、重宝している。俺はお気に入りのチョコ菓子を買って家に帰る。 帰ってまずしたのは風呂の確認。バスタブをめくってみれば湯はほとんど溜まっていた。 俺は台所へ行き大きなプラスチックのコップにたくさんの氷を入れると、職場で飲みきれなかった珈琲を注いだ。魔法瓶に入っていた珈琲は、氷をピシピシといわせる。 この時心の中で「本日の珈琲はリッチブレンドでございます」とか執事の真似事をしてみる。 俺の想像力も創造力も、こんな事で成り立っていたりする。 小さなトレーにアイス珈琲とチョコ菓子、そしてスマホを持って風呂場へ行く。 バスタブを半分、クルクルと巻いて奥へずらす。もう半分のバスタブは机代わりで、俺はそこにトレーを置いた。 軽く体の汚れを流して湯船に入る。 時折チョコ菓子をつまみ、風呂で熱くなった体に冷たいアイス珈琲を流し込みながら小説を書く。 すると先程まで悩んでいたのが嘘のようにスラスラと書ける。 リラックス効果というやつだろうか?行き詰まった時は風呂に入ると大抵進む。そして何よりもこの時間が幸せだったりする。 母上が帰ってきて1時間以上風呂にいた事に気づく。 俺はトレーを脱衣場に置き、髪や体を洗って素知らぬフリして癒しの作業場から出た。
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