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ここで俺は、まだ彼女の名前を聞いてないことに気が付いた。
バイクの名前は教えてもらって持ち主の名前を知らないなんておかしな話だ。
「あ、俺 目黒伸也(めぐろ しんや)っていいます。お客さんは?」
「松永千紘(まつなが ちひろ)です」
「千紘さんですね。まだ雨は止みそうにないですし……止むまで2階でお茶でもいかがですか?」
千紘さんは少し迷ったような顔をしたが、外の様子を見て帰れそうにないことを確認すると
「お言葉に甘えて」
と快諾してくれた。
ーーーー雨が止んだのは、日が暮れて薄暗くなった頃だった。
俺たちはそれまで、2階の小さなリビングで、このカフェの話や千紘さんのバイクの話、お互いのことなど沢山話をした。
今までちゃんとした話をしたことがなかったのに、この数時間で俺たちの仲は急激に深まった。
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