第1章 常連客

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今日も来た。 平日昼のピークが過ぎてお客さんが誰もいなくなった時間に、毎日のように来てくれる常連客がいる。 大きな真っ黒いバイクをブンブンとふかして来るから、近づいてくるとすぐに分かる。 ーーカランカラン ドアベルが鳴り、俺は笑顔でそのお客さんを迎えた。 「いらっしゃいませ」 黒地に、肩から袖にかけて紫のラインが入ったレーシングジャケット。 顎のラインで切りそろえた、モカブラウンのショートボブ。 目鼻立ちがはっきりしていて、きっと誰が見ても美人だと声を揃えて言うだろう。
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