第1章 常連客

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彼女はいつものように、左側の1番隅の二人席に座った。 すぐ横に窓があって、その窓から彼女が乗ってきた大きなバイクが見れる。 バイクを見ながら、自家製のフルーツジュースと日替わりケーキを食べるのがいつものパターンだ。 「ご来店ありがとうございます。いつものセットでよろしいでしょうか?」 お冷とおしぼりをテーブルに置きながら聞くと、彼女は窓の外を見ながら頷いた。 「かしこまりました。少々おまちください」 常連客といっても、彼女と親しく話したことはない。 彼女はいつもムスッとしていて喋らないし、喋ったとしても 「はい」 とか 「結構です」 とか、一言で終わってしまう。 綺麗な顔立ちなんだから、愛想良くすればモテモテだろうに……と心の中でいつも思う。
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