天才と凡才

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 おれは最初やつの話を無視していたが、なんだかんだやつの話に乗っかってしまい、結果的につるむ仲だった。二ノ宮の熱烈な取り巻きから「なんでこんな平凡なやつと友達なんだ?」という視線にさらされながら。  そんな二ノ宮とも、大学卒業を機にすっぱり縁が切れた。真面目だけが取り柄のおれはストレートに卒業し、二ノ宮は単位が足りなさ過ぎて留年して、あっさり大学を辞めたのだ。  卒業したおれは最初、とある有名広告会社へ就職した。そこで1日16時間ほど働く生活を送るようになり二ノ宮のことなんか思い出す暇もなかった。  山のような仕事を抱え、上司とクライアントに頭を下げまくり、精神安定剤が手放せない毎日が3年ほど続いたころだろうか。  冬の深夜、ヘトヘトになって学生時代から住んでいたアパートに帰ってくると、二ノ宮が当然のような顔をしてドアの前に立っていて、おれに言った。 「葉山、会社辞めなよ」 「3年ぶりに会ったのにいきなりそれか!?」  おれは音信不通だった期間のことを根掘り葉掘り聞いて説教してやるつもりで、家にあげてしまった。  軽く一杯飲んで、酒の力を借りて説教してやる予定だった。  だがベロベロに酔っぱらったのはおれのほうで、勢いで会社の上司に「こんなクソ会社辞めてやる」と電話で告げ、晴れて一夜で無職になった。  翌朝、おれがネットで自殺掲示板をサーチしていると、二ノ宮が言った。     
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