最低の同居人

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最低の同居人

 その夜、仕事を終えてアパートに帰宅したおれは、リビングのソファに座る2人を見て言葉を失った。  居候の二ノ宮が、服を脱いだ人気タレントと向き合っていたからだ。 「やあ、葉山。おかえり!」  二ノ宮はおれを見て嬉しそうな顔になる。でかい図体におれのパジャマとガウンをひっかけ、寝ぐせでもじゃもじゃの長い髪に、ヒゲも伸びっぱなしの姿は、主人の帰宅を喜ぶ大型犬を思わせた。やつの背景にある32型の液晶テレビに映る、大相撲の中継が印象的だった。   「あんた誰?」  生意気そうな態度でおれに言うその人気タレントの名前はあえて伏せさせてもらうが、彼女は最近話題のスマホのCMに出演している十代の女の子だと言えばわかってもらえるだろうか。  広告代理店で働く俺は、彼女のギャランティの高額さも、一年間はスケジュールが埋まっていることも、おれが打診したCM制作にもメール返信すらしてくれないことは知っていた。  その彼女が、おれが芸大時代から住んでいる1DKの古めかしいアパートの一室で、綺麗なおわん型のおっぱいを丸出しにしている。背景のテレビに映る関取のおっぱいとはさすがにモノが違った。 「えっ、と……」     
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