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カーテンの開く小気味良い音と共に、まだ眠気と戯れていたい僕の重たいまぶたの奥にも光が差す。
「おはよう。ほら、あーさーだーぞー」
もう少し、もう少しだけ、というか今日は日曜日だろ、という僕の抵抗を完全に無視して、彼女は容赦の欠片もなく僕の身体を揺すってくる。
「おーきーろー」
我慢比べでは勝ち目がないとわかりきっている僕は、仕方なくのっそりと身体を起こした。目を開けた瞬間、まぶたで多少は遮られていた太陽の光がまっすぐに僕に飛び込んでくる。こちらも容赦がない。
彼女の声と、手と、太陽の光と、これらにどうにか対抗する手立てはないものかといつも未練がましく考えてみるのだけれど、起きたての頭では大した策も思い浮かばなかった。布団をかぶってみてもアイマスクをしてみても引っ剥がされることは前に検証済みだし、窓を塞いだところで同じことだろう。
ふいに、ふっと空気が揺れて、彼女が笑ったのだと寝ぼけた僕の頭も理解する。
あまりの理不尽な明るさに目を細める僕の顔がおかしかったのか、魅力的な眠気と躍り続けるための新しい作戦を打ち出せないまま起き上がる僕に満足したのか、あるいは、ひどい寝癖でもついていたのか。
なんにせよ僕はあまり面白くない。
最後の抵抗として、ちょっとだけ睨むようにして彼女の方を見やる。
「おはよう」
彼女は止めの一言と共に、にんまりと笑った。
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