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授業が終わり少し早めに繭がサークルに向かうと、また輝が女子生徒に呼ばれたようで無愛想なまま廊下で話をしていた。
ーーあー……最近この光景も見なくなってきたと思ったけど、やっぱり輝君はもてるんだなあ。そうよね、イケメンだもんね。それにしても、楓君がいない時で良かった……。
横目で輝を見ながら調理室に入ると、雅姫は相変わらず教卓の上でだらだらと携帯をいじっていている。
「輝君、相変わらずのもてっぷりね」
「だなー。付き合っていた全員と別れて、楓ちんだけになってから『特定の彼女ができた』って広まったじゃん? そのあと、しばらく告白してくる子はいなかったんだけどなあ……。あ、そうだ。俺さ、ずっと疑問なことがあったんだけど聞いていい?」
「疑問? 何かしら」
雅姫にはどうしてもひとつだけ、このサークルで不思議に思っていたことがあった。それはあれだけもてる輝になぜかこのサークルでは、誰ひとりとして告白してくる人がいないということ。一度だけ昔いた部員が輝と付き合っていて、うまくいかなかったのか突然辞めたということはあった。でもそれ以外で卒業した人やいまの部員も皆んな輝と話せて嬉しそうなのに、特にそこから何かあるわけでもない。それが雅姫はずっと気になっていた。
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