離れていても

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「あー……ヒメ君、分かっていなかったのね。あのね、この料理研究会の女子部員十八名は全員『腐女子』なのよ」  正直、繭が真面目な顔で言ってきた言葉の意味をすぐに理解できなかった。しかも「今頃そんなことを聞いてくるなんて遅い」とまで言われる始末だ。 「ふ……腐女子? 腐る女子って書いて腐女子ってやつ?」 「そう。腐りきった女子よ」 「それがどうして輝に告白しないことに繋がるんだよ」 「本当に知りたい?」 「お…………おう……。あ、やっぱりやめておこうかな。すげー怖くなってきた……」 「まあ、腐女子なめたら怖いわよ」 「……それ聞いた方がいい感じ?」 「私はどっちでもいいけど聞かないのも、もやもやするんじゃない?」 「だよなあ……じゃあ、心して聞くわ」 「なぜ輝君に誰ひとりとして告白しないかって言ったわよね? まず私が入る前にいた子がひとりいたわよね」 「ああ、一年の時からいたよ。それで輝に告白して付き合って、上手くいかなくて別れてここも辞めたような」 「そう、それが『普通の女子』の思考よ。普通なら輝君と付き合いたいから、ここに来るでしょうね。でも私達はそれをしない。決して輝君に興味がないわけではないのよ。むしろ! あるの! ありまくるの! じゃあ、どうして興味があるのに告白をしないか。そこにはヒメ君! 貴方が関係しているのよ!」  繭は目を見開き興奮気味に声のトーンをひとつ上げて、雅姫に数センチの距離まで近寄り言い放った。
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