のぞき穴の恋

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 その穴の存在に気づいたのは、一年前のある日曜日の昼下がりのことです。  引っ越してきた安普請(やすぶしん)の木造アパートの木柱に大きなカナブンが止まっていると思ったのですが、それは(ふし)でした。小さな出っ張りをそっとつまむと取り外せました。その後には一センチメートルほどの小さな穴が現れたのです。  のぞき込むと隣の部屋の様子がわずかですが見えてきます。
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