1.私の瞳に映るあなたは

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中学1年生の秋。 私は、生まれて初めての恋をした。 これが恋なんだと知るのは、もっと先だったけど。 居合羽咲(いあいうさぎ)、中学1年生。 おしゃれとか、学校で話題になっている話にいまいちついていけない今日この頃。 夏休みが終わって、何とか宿題を提出できたことにほっとしている。 「羽咲、文化祭、何やりたい?」 私の前の席で、話しかけてきた女の子は、江ヶ崎音(えがさきおと)。 音ちゃんは綺麗で、大人っぽい女の子で、中学校に入ってから、初めて出来た友達だ。 「何がいいかな。お化け屋敷は嫌だな」 「そうだね。私、髪が長いから、小学校の時はお化け役だったの。私より年下の子たちなら平気だったけど、年上の人が来たときは少し怖かったな」 「そうだったんだ。私は髪が短いし、脅かすのも下手だったから、障子から手が出る仕掛けの1人だったよ」 こうして音ちゃんと話している間にも、学級委員の子が、どんどんみんなの意見を聞いて黒板に書いていく。 お化け屋敷、喫茶店、ヨーヨー掬い、休憩室。 教室は賑やかで、窓から見える空は青くて、外では体育の授業を行っているのか、掛け声が聞こえる。 平和だなあ。 「羽咲?またぼーっとしてるの?」 「ううん、見てほら、すごく天気が良いよ」 音ちゃんも外を見て、それから私を見て、少し笑ったみたいだった。 「そうだね。でも、暑いね」 開いた窓からは、カーテンが少し揺れる程度の風しか入ってこない。教室には、エアコンもない。隣の席では、下敷きをうちわ代わりにしている子もいた。 「うん」 学級委員長が、黒板のリストを見て、多数決で決めますと声を張り上げている。それくらい、教室は賑やかだった。 「みんな机に突っ伏してください。それで、僕がこれから候補を読み上げるので、クラスでやりたいと思ったものに手を挙げてください。友達と相談している時間はないです。ほら早く」 委員長は気が短い。みんなもそれはわかっているので、すぐに言うとおりにする。なんだかんだで時間は過ぎて、もうすぐ帰る時刻だった。長引くのも嫌なので、みんなの行動も早い。 そうして委員長が候補を読み上げて、決まりましたと告げるので顔を上げると、残念なことに、お化け屋敷の票が1番多かった。
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