師走のクリスマス

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 スマホで時間を確認した先生は慌てて歩き始める……が窓を見てすぐに足を止めた。 「水嶋! 見てみ、雪だよ雪。こりゃホワイトクリスマスだな」 「師走の空に雪降りし時、貴方を想いながら目を瞑る……かぁ」  ふと窓から見える雪景色がさっき受けていた現代文のテストの詩と重なる。 「おっ。さっきのテストの詩だな。勤勉でよろしい。 てか、昔からずっと思ってたんだけど『師走』と『シラス』って似てないか?」 「はぁ? に、似てないよ全然! てか先生ムードなさすぎだし」    こんな時素直に『私も思った』なんて言えたら可愛いのに、それが出来ない。  本当に不器用で嫌になる……  まぁだけどやっぱりこういう些細な偶然が凄く嬉しいなぁ。 「そうかぁ? 似てると思うんだけどなぁ……まぁいっか。よっしゃ帰ろう! 水嶋も気を付けて帰るんだぞ」  少し不貞腐れた顔をしながら、先生はまた歩き出した。そしてそれを見て私も反対側に歩き出す。   「先生! メリークリスマス」  少し離れた先生に私は少し大きめの声を投げかける。  最後の最後にサンタからプレゼントももらえたし、この嬉しい気持ちを一言どうしても伝えたくなっちゃった。   「おう! 風邪引くなよー」   「師走とシラス……やっぱり似てるなぁ」  一人歩く廊下。誰にも聞こえないような小さな声で私は笑いながら呟いた。    
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