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「俺は先生だからな。生徒が悩んでいたら全力で向き合いマッスル!」と言いながら、なんかよく分からないボディービルのポージングをとっている。
「……」
「ゴメン! 今の無し! クソ滑った」
焦る先生の姿が妙に笑える。
「ぷっ、あはははっ! ほんとクソ滑ってるよ」
「笑い過ぎだよ! まぁさっきのはあくまで俺の持論だからな。頭の片隅にでも置いといてくれ。
あっ! あとな、幸せになるにはコツがあってな『幸せのハードル』ってのを低くしておくといいぞ! 例えば時間とかだとわかりやすいかな。自分がいつ死ぬかなんて誰にも分からないよな? 明日かもしれないし、60年後かもしれない。そう考えるだけで時間は限りあるものなんだって意識できて、いつもなら気にも留めないような色々なことに、感謝できるし全力で向き合える。
それが『幸せのハードル』を低くするってことで、幸せのコツな! まぁこれも持論だからな」
先生の言っていることはなんとなく分かる。先生と一緒に居れるあと数ヶ月の高校生活。意識し始めてから一分一秒がものすごく大事に思えるし愛おしく思えた。
「幸せのハードルかぁ。そんなの意識したことなかったなぁ。ありがとう先生。てか急いでたけど何か用事あったんじゃないの?」
「あっ! そうだった! てかやばっ、もうこんな時間になってる。今日の課外授業はここまでということで!」
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