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大恋愛の末の結婚で私が授かった最大のものは父親の責務と目に入れても痛くない愛娘の由美だ。
恐る恐る両手でお風呂に入れた赤ん坊の頃。
大切に大切にお風呂で抱えた由美は愛らしい笑顔を浮かべて、私ら夫婦にも笑顔を与えてくれた。
喋りだし歩きだし、お転婆だなぁと微笑ましく側にいたが、もちろん悪さだってする。
時には、厳しい反論もくる。
だが、ただ甘やかす訳にはいかない。
今日も今日とて、お転婆の過ぎる由美を叱るのだ。
「由美!食べ物で遊んじゃダメでしょう!」
目に涙をいっぱいにこらえる由美。
「ごめんなさいは!?」
妻がまぁまぁと私をたしなめる。
「そのくらいでいいでしょ?由美、お父さんとお風呂入ってきたら?」
「や!お父さん嫌い!お母さんと入る!」
由美とお風呂に入れないとは……。
悲しかった。
そんな時もあった。
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